空間について

私のうちは駅からあるいて3分、とても近い。
その短い道々に、お店がひとつ入るくらいの貸しスペースがあるのですが。

借り手がコロコロ変わる所で、最初はなんとなく飲食店、次に中華料理店が2件、次にハワイアンレストラン?そして今はフレンチダイニング。
毎回借り手が変わると店構えが変わるのでそれなりにおもしろいんだけど、内装を見るたびに「これは今回も厳しいぞ」と思わざるを得ない。
たぶん予算の範囲で“中華らしさ”とか“ハワイらしさ”を演出しようとしているんだけど力及ばず、お店が「ただの箱」にしか見えなくて、開店当初から「こういう所でお金を払って食事をしたい人っていないよね」という感じがしてしまって残念でした。
それで今のフレンチダイニングがどうだったかというと、巧かった!最近は夜どの時間帯に通っても1組くらいはお客さんが入っている繁盛ぶり!
“何もないところに空間は作られない”というのは本当で、空間っていうのはその場所にあるモノによって作られるんだなぁと実感。
テーブルとか椅子とか植物とか照明とかメニューとかロウソクとか…複数の要素がひとつの空間を作りあげて、今は店の前を歩いている私たちにちゃんとメッセージを送ってくる。
「ただの箱」時代から毎日観察を続けてきた私としては、うれしい限りです。


おすすめ本

デザインの輪郭

デザインの輪郭

深澤直人のデザイン観について書かれています。結構売れてる?よく見かける本。
「空間について」ダイレクトな書かれ方はしていないけど、デザインを「日常にある様々なものの力関係で浮き彫りにされる輪郭」として論じるあたり、今回の日記のテーマに近いものがあったような。(もちろん、私の感覚よりもっとずっと深いところで感じ取ってそれを考察されてます。)
書かれているひとつひとつの言葉を噛み砕いて考えてみるとおもしろい、という一気に読むというよりは、ぼちぼち読む、という感じがぴったりな一冊。