ヴィルヘルム・ハンマースホイ

大学の時に私とゆっこちゃんが大好きだった美術史の高橋先生・・・扇子を片手に情熱的に(熱狂的に?)フランドル絵画について論ずるという先生がいらっしゃるのですが、その先生の授業にも登場したヴィルヘルム・ハンマースホイの回顧展が上野の国立西洋美術館で開催されていたので見に行きました。

7日までということでかなり混んでたけど、時間はあったのでじっくり見る事ができたかな。
寒い北欧の画家らしく、ほとんどが室内画で、光の描き方や構図にフランドル絵画やフェルメールの影響を見る事ができます。画風はかなり古風なんだけど、実際はほんの100年ほど前の画家なので、建物の描き方とかにモダンな雰囲気が漂うものも見受けられました。

特徴的なのは、うなじを見せた女性の後ろ姿を登場させる事と、生活感のないどこか現実離れした室内描写(これは意図的に構図をズラしたり、視点を複数持たせたりして描いているためらしい)で、太陽が降りそそいでいただろうイタリアの聖堂さえどこかほの暗く、夢の中のような描かれ方をしているんだからきっと筋金入りの根暗だね。あとうなじフェチね。

それにしても、あぁ静謐・・・。
新潟の長い冬、頭に付きそうなくらい厚く重なった雲や、熱を持たない淡い日光、音のない夜、そういう思い出が引き出されてほっと一息ついた気分。
人は絵を見る時、自分の経験から感覚を引っ張りだして、絵と一緒にもう一度経験するのだなぁ、と感じた一日でした。そう考えると、画家って素敵な職業ですね。

ヴィルヘルム・ハンマースホイ - Wikipedia
http://www.shizukanaheya.com/key/index.html


上野の空。

美術館を出たときはもう夕暮れ時でした。